実家じまいの補助金は大阪でいくら出る?解体費5分の4の制度と申請の順序を解説

遺品整理の見積もりに伺う住宅の外観イメージ

大阪市には、実家の解体費用を最大で5分の4まで負担してくれる補助制度があります。戸建住宅なら1戸あたり170万円が限度額です。ただし条件があり、対象は「幅員6m未満の道路に面した昭和56年5月31日以前の木造住宅」で、しかも解体後の土地を3年以上、防災空地として地域に無償で貸し出すことが前提になります(大阪市「防災空地活用型除却費補助制度」)。

この一点に、大阪の実家じまいの特殊性が凝縮されています。大阪市の空き家補助は「困っている所有者を助ける制度」ではなく、密集住宅市街地の防災性を上げる都市政策の一部として設計されています。だから金額が手厚い代わりに、地区と建物の条件が細かく、対象から外れる実家も多い。「大阪は補助金が出るらしい」と聞いて窓口へ行き、対象外と言われて落胆する方が後を絶たないのはこのためです。

この記事では、大阪市が実際に公表している補助金・助成金の補助率・限度額を制度ごとに整理したうえで、対象から外れた場合に何ができるか、申請の順序をどう間違えると受給できなくなるかまでを解説します。費用の全体像は実家じまいの費用相場と内訳、作業の流れは実家じまいの手順・流れ、業者の探し方は実家じまい業者の選び方をあわせてご覧ください。

※本記事に記載した補助率・限度額・要件は、各制度の公式ページで確認できた内容です。年度ごとの予算枠・受付期間・細目は変わります。申請前に必ず物件所在地の自治体窓口でご確認ください。

✅ この記事の要点
大阪市の除却補助は金額が大きい一方で、対象地区・建物要件が厳しく設定されています。着工前に申請して交付決定を受けることが全制度に共通する絶対条件で、業者と契約する前に窓口へ行くかどうかで数十万円が変わります。
目次

補助金を活用すると実家じまいの費用はどれだけ下がるか(試算例)

解体・売却の対象となる大阪市内の木造実家の外観
木造2階建て・延床30坪クラスの実家。補助制度の対象地区かどうかで実質負担が大きく変わります

金額の実感を持っていただくために、まず全体像を示します。実家じまいの費用は「荷物を出す費用」「建物を壊す費用」「売る手続きの費用」の3つに分かれ、補助金が効くのは主に2つ目です。

モデルケース:大阪市内・木造2階建て・延床30坪の実家を、遺品整理から解体・売却まで進める場合

項目 費用の目安 補助制度の対象か
遺品整理・荷物撤去 25〜40万円 対象外(買取で相殺する)
建物の解体工事 120〜180万円 ここが補助の対象
測量・登記費用 10〜20万円 対象外
仲介手数料(売却時) 売却価格の3%+6万円 対象外(税の特例で軽減)
合計 155〜240万円 —

ここに大阪市の防災空地活用型除却費補助が適用できた場合、解体工事費の5分の4(一部エリアは3分の2)が補助され、戸建住宅なら170万円/戸を限度に交付されます。解体費が150万円の物件なら計算上は120万円が補助される水準で、実質負担は30万円まで下がります。さらに、跡地を防災空地として提供している間はその土地の固定資産税・都市計画税が非課税になります(いずれも大阪市「防災空地活用型除却費補助制度」)。

「建物を壊すと住宅用地特例が外れて固定資産税が上がる」という一般論が、この制度では逆に働くわけです。更地にしたあとの税負担を心配して解体を先送りしている方にとって、検討する価値のある選択肢だと言えます。

ただし繰り返しになりますが、これは対象地区に実家がある場合の話です。次章で、大阪市の3つの制度それぞれの中身と、自分の実家が当てはまるかを判断する材料を示します。

大阪市の空き家補助3制度——公表されている補助率と限度額

大阪市の空き家に関する金銭的支援は、大きく「壊す」制度と「使う」制度に分かれます。実家じまいを検討する方に関係が深いのは次の3つです。いずれも大阪市の公式ページで内容を確認できるものだけを挙げています。

① 防災空地活用型除却費補助制度(解体費の補助・金額が最も大きい)

密集住宅市街地の重点対策地区で老朽木造住宅を解体し、跡地を災害時の避難などに役立つ「防災空地」として活用する場合に、解体費と空地整備費の一部を補助する制度です。

項目 内容
対象建物 昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅
敷地の条件 幅員6m未満の道路に面する/避難に有効な大規模空地や幹線道路に隣接していない/面積50㎡以上で防災性の向上に有効な形状
解体費の補助率 5分の4(一部エリアは3分の2)
解体費の限度額 戸建住宅 170万円/戸(一部エリア100万円/棟)/集合住宅 125万円/戸(一部エリア200万円/棟)
空地整備費 補助率3分の2・限度額160万円
最大の条件 土地所有者等が市と3年以上の土地の無償使用貸借契約を締結し、土地所有者等・地域住民等・市の三者で防災空地の管理等に関する協定を結ぶこと
跡地の税 土地の固定資産税・都市計画税が非課税

注意すべきは「無償で3年以上貸す」という点です。解体してすぐ売却したい方には向きません。逆に、すぐには売らない・売れる見込みが薄い・管理だけが負担になっているという実家であれば、解体費の大部分が補助され、なおかつ更地の固定資産税もかからない状態を3年間つくれます。実家じまいの出口が「売却」ではない場合に、真っ先に検討したい制度です。

② 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度(さらに古い木造が対象)

対策地区・重点対策地区において、幅員4m未満の道路に面した昭和25年以前に建てられた木造住宅の解体費の一部を補助する制度です。大阪の旧市街には、戦前からの長屋や、車が入れない路地に面した住宅が今も残っており、この制度はそうした建物を想定しています。

①の防災空地型と違い、跡地の貸し出しは前提ではありません。実家が昭和25年以前の建築で、前面道路が4m未満であれば、こちらが該当する可能性があります。補助率・限度額は地区や年度によって異なるため、区の窓口で対象地区図と合わせて確認してください。

⚠️ 「大阪市だから使える」ではなく「その地区だから使える」
①②はいずれも対象地区の内側にある建物だけが対象です。同じ区内でも道路1本を挟んで対象外になることがあります。住所を伝えれば窓口で地区判定をしてもらえるので、書類を集める前にそこから始めてください。

③ 空家利活用改修補助制度(壊さずに使うという選択肢)

解体だけが実家じまいの答えではありません。大阪市には、空き家をリフォームして再び使えるようにする費用を補助する制度もあります。3か月以上空き家で、不動産市場に流通していない住宅が対象です。

補助メニュー 補助率 限度額
インスペクション(建物状況調査) 2分の1 3万円
耐震診断 11分の10 5万円
耐震改修設計 3分の2 10万円
耐震改修工事 2分の1 115万円
性能向上改修工事(住宅再生型) 2分の1 75万円
地域まちづくりに資する改修工事 2分の1 300万円

対象は平成12年5月31日以前に建築された戸建または長屋建の住宅です。「長屋建」が明記されているところに大阪らしさがあります。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査では、大阪府は共同住宅に住む世帯の割合が57.4%と全国3位で、戸建以外の住形態が厚い地域です。長屋・連棟住宅は隣家と壁を共有しているため単独での解体が難しく、「壊せない実家」になりやすい。そうした物件では、解体ではなく改修して貸すほうが現実的な出口になります。

荷物を出したあとの活用まで視野に入れるなら、実家じまいとは?進め方の全体像で売却・賃貸・解体の分岐を確認したうえで、どの制度を狙うかを決めるとぶれません。

国の税制優遇——2027年末が期限の3,000万円特別控除

自治体の補助金が対象外でも、国の税制優遇は所在地を問わず使えます。実家じまいで動く税金のうち、最も金額の大きい制度がこれです。

相続空き家の3,000万円特別控除(被相続人の居住用財産を売ったときの特例)

相続した実家を売却したとき、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。国税庁タックスアンサーNo.3306に要件が示されています。押さえるべき点は次のとおりです。

要件 内容
適用期限 平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの間の譲渡
控除額 最高3,000万円。ただし令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋および敷地等を相続・遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円に縮小
建築時期 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
売却代金 1億円以下(相続開始後3年以内の全売却代金を合算して判定)
譲渡の期限 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで

実務で見落とされやすいのが「相続人が3人以上なら2,000万円」という縮小ルールです。きょうだい3人で実家を相続したケースでは、控除枠が1,000万円小さくなります。相続人の人数によって手取りが変わるため、遺産分割の方針を決める段階で税理士に試算してもらう価値があります。

もう一つ、2027年12月31日という適用期限も重要です。相続開始から3年という個別の期限とは別に、制度そのものの期限が迫っています。「まだ猶予がある」と考えて放置していると、どちらかの期限に引っかかります。

固定資産税の住宅用地特例と、解体のタイミング

建物が建っている土地は、固定資産税評価額が最大6分の1に軽減されます(住宅用地特例)。建物を解体して更地にするとこの特例が外れるため、年明けから解体を検討している方は、賦課期日である1月1日時点でどちらの状態にしておくかを意識すると無駄な負担を避けられます。

ただし放置すれば安全というわけでもありません。空家等対策の推進に関する特別措置法の改正により、著しく危険な「特定空家」だけでなく、管理が行き届いていない「管理不全空家」も、勧告を受ければ住宅用地特例が解除される対象になりました。倒壊の危険がある家屋を持ち続けるリスクは、税と賠償責任の両面で年々重くなっています。

相続税の取得費加算と、その前提としての相続登記

相続税を納めた方が相続財産を売却する場合、支払った相続税の一部を譲渡所得の取得費に加算できる特例があります。売却益への課税を抑えられる制度で、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの売却が要件です。

そして、これらすべての前提になるのが相続登記です。2024年4月1日から相続登記は義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります(法務省「相続登記の申請義務化について」)。補助金の申請者は原則として所有者本人であるため、登記が親の名義のままでは補助金の申請自体ができません。実家じまいの最初の一手は、荷物の片付けでも業者探しでもなく、登記の確認です。

大阪市以外の実家——府内の制度を自分で調べる手順

補助金は物件の所在地の自治体に申請します。実家が堺市にあれば堺市、東大阪市にあれば東大阪市です。申請者がどこに住んでいるかは関係ありません。

府内各市の除却補助は名称も要件も市ごとにばらばらで、限度額を概要ページで公表していない自治体も少なくありません。たとえば堺市の場合、空き家対策の取組一覧には「堺市住宅・建築物耐震改修等補助金」による耐震性能不足木造住宅の除却補助と、「堺市密集住宅市街地整備促進事業木造住宅建替促進補助金」による密集市街地の老朽木造住宅の除却補助が掲載されていますが、補助率・限度額は一覧ページには記載がなく、交付要綱にあたる必要があります。

ネット上には自治体別の補助金額をまとめた記事が多数ありますが、年度が変わって金額が変わっている、あるいは制度自体が終了しているケースが珍しくありません。次の順序で一次情報にあたってください。

府内の補助金を確認する手順

  1. 市の公式サイトで「空き家」「除却」「老朽危険」で検索し、今年度の受付状況が書かれたページを探す
  2. 制度名がわかったら「◯◯市 ◯◯補助金 交付要綱」で要綱本文を開き、補助率・限度額・対象区域を読む
  3. 要綱で読み切れない部分(自分の実家が対象区域か、危険度の基準を満たすか)は建築指導課・住宅政策課へ電話で確認する
  4. 電話では「所在地」「建築年」「前面道路の幅員」「現在空き家かどうか」の4点を先に伝えると判定が早く進みます

国土交通省の空き家対策に関するポータルサイトでも自治体の支援制度を横断的に探せますが、最終的な可否は必ず窓口で確認してください。

補助金申請の手順と必要書類

補助金の申請は、手続きそのものよりも順序が重要です。ステップを踏み違えると、条件を満たしていても受給できなくなります。

STEP 1|自治体窓口で事前相談(申請の2〜3か月前が目安)

物件所在地の市区の建築指導課・住宅政策課・空き家対策担当へ相談します。確認するのは、該当制度の有無と今年度の受付状況、補助対象となる条件(危険度判定が必要か)、必要書類のリスト、申請から交付決定までの期間(通常1〜2か月)の4点です。

STEP 2|現地調査・危険度判定(自治体が実施)

多くの制度で、職員または委託事業者による現地調査が行われます。この結果で補助対象かどうかが決まります。所有者または相続人の立会いを求められる場合があります。

STEP 3|解体業者から見積もりを取得

仮の内諾を得たあと、解体業者2〜3社から見積もりを取ります。2社以上の見積書を求める自治体もあります。依頼時に「補助金を申請する予定」と伝え、書類作成に協力してもらえるかを確認してください。補助金対応の経験がある業者かどうかで、後の手間がまったく違います。

STEP 4|補助金交付申請書の提出(必ず着工前)

下表の書類を揃えて窓口へ提出します。書類の不備は差し戻しの最大の原因なので、提出前に担当者にひととおり目を通してもらうと確実です。

書類 内容・取得先
補助金交付申請書(所定様式) 窓口または市のウェブサイト
建物・土地の登記事項証明書 法務局(600円/通)
固定資産税評価証明書または課税明細書 市区役所
位置図・案内図 住宅地図の写しで可
建物の現況写真 外観・室内・損傷箇所を複数枚
解体工事の見積書 2〜3社分を求められる場合あり
申請者の本人確認書類 運転免許証・マイナンバーカード等
相続関係書類 戸籍謄本・相続関係説明図・相続人の同意書等
STEP 5|交付決定通知を受け取ってから、業者と正式契約・着工

交付決定通知書が届いて初めて工事に入れます。この順序を逆にすると補助金は一切受け取れません。

STEP 6|工事完了後に実績報告・精算申請

完了報告書、着工前・施工中・完了後の写真、工事請負契約書の写し、領収書等を提出します。

交付決定のあとが本番——精算払いまでにつまずく3つの場面

補助金の解説記事の多くは交付決定で話が終わりますが、実際にご相談が増えるのはその後です。ここを知っているかどうかで、資金繰りと精神的な負担がまったく変わります。

場面1:工事費を一度は全額自分で立て替える

補助金は原則として工事完了後に申請者へ振り込まれる精算払いです。工事代金は先に自己資金で支払わなければなりません。解体費150万円の物件なら、補助が120万円出るとしても、いったんは150万円を用意する必要があります。振込までは完了報告から1〜2か月かかるのが一般的で、この間の資金をどう手当てするかを先に決めておいてください。

解体業者との支払条件を「着手金3割・完了後7割」などに調整できないか、見積もりの段階で相談しておくと負担を平準化できます。

⚠️ 「補助金分を差し引いた金額で契約します」と言う業者に注意
補助金は所有者に支払われるもので、業者が代わりに受け取る仕組みではありません。差引契約を提案してくる業者は、制度を理解していないか、意図的に不透明な会計をしようとしている可能性があります。契約前に必ず自治体窓口へ確認してください。

場面2:工事内容が申請と変わったとき、勝手に進めると減額される

着工後に地中埋設物が見つかる、附属の物置も一緒に壊すことになる、といった変更は珍しくありません。こうした変更には事前の変更承認手続きが必要で、届け出ずに工事を進めると、変更部分が補助対象から外れて交付額が減ることがあります。現場で追加作業の提案を受けたら、その場で了承せず、まず窓口に連絡してください。

場面3:完了報告の写真が足りず、報告が受理されない

実績報告でつまずく最大の原因は写真です。着工前・施工中(基礎の撤去状況など)・完了後の同じアングルの写真が求められますが、施工中の写真は工事が終わってからでは撮り直せません。契約時に「補助金の実績報告に使うので、指定の工程で写真を撮ってほしい」と業者へ伝えておくだけで、この問題はほぼ防げます。

補助金申請で失敗する5つのケースと対策

当センターに寄せられたご相談のうち、補助金を受け取れなかった事例に共通するパターンを整理しました。

ケース①:解体業者を先に決めて着工してしまった

状況:早く実家を片付けたい一心で業者と契約し、着工後に補助制度の存在を知った。
なぜ失敗するか:全制度に共通して「着工前の申請・交付決定」が条件で、事後申請は受け付けられません。
対策:見積もり依頼より前に窓口へ行く。順序を変えるだけで防げる、最も多く、最ももったいない失敗です。

ケース②:相続登記が終わっていなかった

状況:名義が亡くなった親のままで申請しようとして受理されなかった。
なぜ失敗するか:申請者は原則として所有者本人だからです。
対策:実家じまいを考え始めた時点で登記を確認する。2024年4月から義務化されており、どのみち3年以内の対応が必要です。

ケース③:年度末に申請して予算枠が終わっていた

状況:2月に窓口へ行ったところ、その年度の予算が既に消化済みだった。
なぜ失敗するか:補助金には年間の予算枠があり、上限に達した時点で受付が締め切られます。
対策:年度初めの4〜6月に相談する。遅くとも11月までに申請を終える計画を立ててください。

ケース④:危険度判定の基準に届かなかった

状況:「古い実家だから対象になるはず」と申請したが、現地調査で基準に達せず対象外になった。
なぜ失敗するか:築年数だけでなく、傾き・外壁の剥落・雨漏り・シロアリ被害などを総合的に評価するためです。
対策:書類を集める前に、現況写真を持って窓口で「対象になりそうか」を確認する。

ケース⑤:相続人全員の同意が取れていなかった

状況:きょうだい間で方針がまとまらず、同意書へのサインが得られずに申請が止まった。
なぜ失敗するか:共有名義の不動産では、共有者全員の同意を求められることが一般的だからです。
対策:制度を調べる前に、家族で「売る・貸す・壊す」の方針を決める。調整が難しい場合は司法書士や弁護士への早期相談が結果的に近道です。相続をめぐる失敗の典型例は実家じまいでやってはいけないことでも詳しく扱っています。

補助金が使えなかった実家で、費用を下げる方法

対象地区の外にある、築年数が要件に合わない、危険度が基準に届かない——補助金が使えないケースは実際には少なくありません。その場合でも、負担を減らす手立てはあります。

不用品の買取で荷物撤去費を相殺する

遺品整理の費用は荷物の量でほぼ決まります。家具・家電・骨董品・貴金属など買取価値のあるものを査定に出し、処分費から買取額を差し引く方式にすれば実費が下がります。整理と買取を一括で扱う業者に依頼すると、搬出が1回で済むぶんトータルコストも抑えられます。

解体を伴わない出口を検討する

前述の空家利活用改修補助のように、改修して貸す方向であれば解体費そのものが発生しません。とくに長屋・連棟住宅は構造上の理由で単独解体が難しく、隣家との調整に時間と費用がかかります。無理に壊すより、改修補助を使って賃貸に回すほうが現実的な物件は一定数あります。

相続土地国庫帰属制度を使う

2023年4月に始まった、相続した土地を国に引き取ってもらえる制度です。建物がないこと・担保権が設定されていないことなどの要件を満たす必要があり、審査手数料と10年分の管理費相当額の負担金がかかりますが、買い手のつかない土地の固定資産税と管理責任から解放される選択肢になります。建物を解体したあとの更地について利用を検討できます。

解体業者・遺品整理業者の選び方と、注意したい手口

補助の可否と同じくらい実質負担を左右するのが業者選びです。補助率が5分の4でも、見積もりが相場より50万円高ければ意味がありません。

比較すべき4つのポイント

  • 許可・資格の確認:解体工事には建設業許可または解体工事業登録、荷物の処分には一般廃棄物収集運搬の許可が必要です。遺品整理士などの資格者が在籍しているかも判断材料になります。
  • 見積書の内訳が分かれているか:「解体工事一式◯◯万円」ではなく、仮設・本体解体・基礎撤去・廃材処分・整地が項目ごとに書かれているか。内訳を出せない業者は追加請求が起きやすい傾向があります。
  • 補助金申請の経験があるか:申請書に添付する見積書の様式、完了報告用の写真の撮り方など、経験のある業者は最初から段取りが違います。
  • 複数社を比較したか:解体費は同じ物件でも数十万円の開きが出ます。2〜3社の相見積もりは手間ではなく、最も確実な費用削減策としておすすめできます。

相談として持ち込まれることの多い手口

⚠️ 次のような対応をする業者にはご注意ください

  • 現地を見ずに金額を出す:電話だけで「30万円でできます」と言い、着工後に「想定より廃材が多い」と追加請求してくる。
  • 「補助金分は当社が受け取ります」:前述のとおり、制度上あり得ない説明です。
  • 契約書や許可番号を出さない:口頭のみで進めようとする業者とは契約しないでください。
  • 無料回収をうたう街宣車での勧誘:積み込んだ後に高額な運搬費を請求される、不法投棄されて所有者が責任を問われる、といった事例につながります。

当センターは自社で作業を行わず、許可・資格・見積書の様式・トラブル履歴を確認した提携業者のみをご紹介しています。審査の基準は提携業者の審査基準で公開しています。

大阪での相談事例2件

金額と進み方の実感を持っていただくため、当センターにお寄せいただいたご相談から2件を紹介します。費用は統計値ではなく、実際のご相談にもとづく目安としてご覧ください。

事例1:生野区・築60年の長屋(きょうだい3人で相続)

親が亡くなり、路地に面した長屋を3人で相続されたケースです。前面道路が狭く、隣家と壁を共有しているため、単独での解体には隣家の同意と補強工事が必要だと判明しました。窓口で相談したところ、地区としては密集住宅市街地の対象範囲内でしたが、構造上の理由で解体の見通しが立たず、方針を「改修して貸す」に切り替えています。

あわせて判明したのが、相続人が3人であるため3,000万円特別控除が2,000万円に縮小される点でした。売却前提で進めていたら、想定より税負担が重くなっていた可能性があります。荷物の整理費用は買取分を差し引いて約22万円、期間はご相談から搬出完了まで約3週間でした。

事例2:東住吉区・昭和50年代の木造2階建て(相続登記が未了)

空き家のまま5年が経過し、外壁の一部が落ちて近隣から苦情が出ていた物件です。除却補助を使いたいというご相談でしたが、登記が亡くなったお父様の名義のままで、そのままでは申請できない状態でした。司法書士に相続登記を依頼し、完了後に窓口で判定を受ける段取りに変更しています。

この案件で強調したいのは時間の読み違えです。相続登記に約2か月、補助金の事前相談から交付決定までに約2か月、工事と完了報告を経て振込までにさらに2か月。「補助金を使って解体する」と決めてから入金までに、半年前後を見ておく必要があります。年度末に動き始めると、予算枠にも間に合いません。遺品整理と荷物の搬出は約31万円、解体は交付決定を待って着工しました。

よくある質問(FAQ)

賃貸に出していた実家でも解体の補助金は申請できますか?

制度によって異なります。多くの除却補助は現在空き家であることを条件としており、過去に賃貸履歴があっても現況が空き家なら対象になる場合があります。一方、大阪市の空家利活用改修補助のように「3か月以上空き家で、不動産市場に流通していないこと」と条件が明記されている制度もあります。物件の履歴を伝えたうえで窓口に確認してください。

補助金の申請は自分でできますか?業者に任せられますか?

申請は所有者(または相続人)が行うものです。書類の収集や申請書の作成を行政書士に依頼することはできます(費用の目安は3〜10万円)。解体業者が書類作成に協力してくれることはありますが、業者が申請者の代わりに申請することはできません。まず窓口で必要書類の一覧をもらい、自分で対応できそうかを判断してください。

3,000万円特別控除と解体の補助金は同時に使えますか?

制度としては別物なので、両方の要件を満たせば併用が可能です。ただし受け取った補助金を確定申告でどう扱うかは個別の判断になります。補助金収入の申告漏れを防ぐためにも、売却した年の確定申告は税理士に相談することをお勧めします。

解体すると固定資産税が上がると聞きました。それでも壊すべきですか?

住宅用地特例が外れるのは事実です。ただし、大阪市の防災空地活用型除却費補助を使って跡地を防災空地として提供する場合は、その土地の固定資産税・都市計画税が非課税になります。また、管理不全空家として勧告を受ければ、解体しなくても特例は解除されます。「壊さなければ税が安い」とは限らないため、売る・貸す・提供するという出口とセットで判断してください。

実家が「特定空家」に指定されたら補助金はもらえなくなりますか?

逆に、危険な空き家の除却にこそ手厚い補助を用意している自治体があります。指定を受けた後でも申請できる場合があるため、まず窓口に相談してください。ただし勧告・命令を経て行政代執行に至ると、解体費用を所有者が請求される形になります。指定される前に自主的に動くほうが、費用の面でも確実に有利です。

補助金の入金までどれくらいかかりますか?

事前相談から交付決定までが通常1〜2か月、工事完了後の実績報告から振込までがさらに1〜2か月です。相続登記が必要な場合はその前に2か月前後かかります。全体では半年程度を見込み、工事代金はいったん全額を立て替える前提で資金計画を立ててください。

補助金を取りこぼさずに実家じまいを進めたい方へ

補助金は「知っていれば数十万円変わる」情報であるにもかかわらず、制度の詳細は自治体ごとに異なり、年度ごとに変わります。しかも、業者と契約したあとでは間に合いません。

大阪遺品整理センターは自社で作業を請け負わず、許可・資格・見積書の透明性を確認した提携業者のみをご紹介するマッチングサービスです。補助金申請の経験がある業者をご希望と伝えていただければ、その条件で候補をお出しします。ご相談・お見積りは無料です。

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関連ページ

【出典】大阪市「防災空地活用型除却費補助制度」「密集住宅市街地の整備と補助金制度について」「空家利活用改修補助制度」/国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」/法務省「相続登記の申請義務化について」/総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」/堺市「空き家対策取組一覧」。補助率・限度額は各制度の公表内容にもとづきます。年度・予算状況により変更されるため、申請前に各自治体の窓口でご確認ください。


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この記事を書いた人

大阪遺品整理センターの編集部です。遺品整理士の監修のもと、大阪の遺品整理・生前整理・特殊清掃の費用相場や信頼できる業者の選び方を発信しています。

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